(立法論)適正な労務管理に向け努力する使用者には恩典を、でたらめな労務管理には懲罰を

 実務では、適正な労務管理に向け努力して、丁寧に手続を進めようとしても、どうしても現行の裁判例動向からすると、勝算が、使用者4:労働者6を上回るのが困難な案件に当たることがあります。私見では、このような案件では、使用者側勝訴の結論になってよいと思っています。

 他方、労務管理がでたらめとしか評しようがなく、勝算としても、せいぜい、使用者1:労働者9としか言えない案件に出くわすことがあります。私見では、このような案件では、懲罰的損害賠償を認めて、使用者が懲らしめられてもよいのではと思います。もちろん、現行法制度では、懲罰的損賠賠償の導入は困難ですが。

 以上のとおりすることにより、使用者側に、適正な労務管理に向けて努力する強いインセンティブが働きます。また、そのような適正な労務管理に向け指導する、使用者側弁護士の報酬水準も従前より高くなり、真の労務リスクに見合った、適正な報酬水準に近づくことでしょう。